ダイヤモンドコア削孔工事とは?建設現場を支える“穴あけ”の専門技術を解説

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建物の工事現場では、外からは見えにくい作業がいくつも行われています。その中のひとつが「ダイヤモンドコア削孔工事」。名前だけではイメージしにくいかもしれませんが、実際は配管やダクトを通すためにコンクリートの壁や床に“丸くきれいな穴”を開ける、とても重要な作業です。


特に、すでに完成している建物を改修したり、空調や水回りの設備を追加・更新したりする際には、この削孔作業が欠かせません。穴の大きさや位置が少しでもズレれば、後の作業に大きな影響が出てしまうため、高い精度と経験が求められます。華やかさはないけれど、建設現場の機能性を支える“縁の下の力持ち”といえる存在です。


この記事では、ダイヤモンドコア削孔工事とはどのような作業なのか、どんな場面で必要とされているのかを、現場の視点からわかりやすく整理していきます。




精密に、きれいに、確実に。削孔工事の基本とその役割

ダイヤモンドコア削孔工事とは、コンクリートやALC(軽量気泡コンクリート)などの硬い建材に対して、円筒状の穴を開ける作業です。この工事に使用される「コアドリル」は、先端にダイヤモンド粒子を焼き付けた刃がついたビットを用いており、高い硬度と耐久性を持っています。非常に硬い材料に対しても、崩さず割らず、正確な穴あけが可能なのが特徴です。


この削孔工事が活躍するのは、主に建物内部に新しい配管・配線を通す必要がある場面です。たとえば、空調ダクトの新設、電気・通信ケーブルの引き込み、水道やガスの配管ルートの確保など。病院やホテル、商業施設、工場、学校といったあらゆる用途の建物で、目的に応じたサイズの穴を、構造物にダメージを与えずに開ける技術が求められます。


特に、既存建物の改修や設備更新の際は、図面通りに施工できないことも多く、現場での判断力や調整力も必要です。施工時には鉄筋を避けるためのレントゲン検査(X線探査)と併用されることもあり、慎重さと安全意識が不可欠です。


見た目はシンプルでも、工事全体の進行に関わる重要な工程であり、その精度と仕上がりが次の作業の品質に直結します。




なぜ“ダイヤモンド”?工具と材料の相性を知る

削孔工事に使用される「ダイヤモンドビット」は、その名の通り、刃先に人工ダイヤモンド粒子が焼き付けられた特殊な工具です。宝石としてのイメージが強いダイヤモンドですが、物質としては地球上で最も硬く、研磨・切削用途でも非常に優れた特性を持っています。コンクリート、アスロック、ALCパネル、サイディングなど、建築現場で扱う硬質素材に対しても、安定した切削性能を発揮します。


たとえば、コア開け中に中途半端にひび割れが起きてしまえば、躯体にダメージを与えたり、配管の通り道が歪んでしまったりと、後の工程に悪影響を及ぼしかねません。そうした事態を防ぐためには、ビットの精度と、施工者の判断力・経験がともに求められます。


また、削孔のスピードを上げすぎれば摩耗が早まり、無理な力をかければドリルが破損することもあります。現場ごとに材質や構造が異なるなかで、最適な工具・適切な力加減・冷却水の使い方などを柔軟に調整するのが、職人の腕の見せどころです。


ダイヤモンドという素材は、見た目の美しさだけでなく、精密で過酷な現場に耐える“機能美”の象徴ともいえる存在なのです。




経験がものを言う。コア開け職人の現場力

ダイヤモンドコア削孔工事は、専門性の高い作業として「コア屋」と呼ばれる職人が担うこともあります。見た目は地味な工程に見えるかもしれませんが、実際の現場では“ただの穴あけ”で済むことはほとんどありません。躯体の構造を理解し、施工箇所の強度や材料の特性を読み取り、最適な道具と施工手順を選択する力が求められるからです。


たとえば、鉄筋が密に入ったコンクリート壁の場合、想定どおりにビットが進まず、角度や回転速度の微調整が必要になることもあります。また、既設設備が密集した天井裏や床下などでは、施工スペースが限られる中で正確に位置を出す技術が試されます。こうした現場で求められるのは、機械操作だけでなく“その一手に理由を持てる職人”であることです。


また、コア開けは他の作業と密接に関係しており、たとえば配管業者がすぐ後に入る場合は、その作業がしやすいように開口部のバリを取り除くなど、次工程までを見越した配慮も求められます。精度だけでなく、周囲との連携も重要なポイントです。


さくら株式会社では、こうしたコア削孔工事も社内の技術者が一貫して担当しています。配管、架台、据付といった他の工種との連携を重視し、現場全体の効率や安全性を損なわないように、高水準の技術と柔軟な対応力で取り組んでいます。


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削孔だけじゃない。一貫体制がもたらす信頼

削孔工事は単体で完結する業務ではありません。実際の工事現場では、配管・配線・機器据付・架台の設置など、複数の工種と連携して進行していくことがほとんどです。削孔のタイミングや位置が少しでもずれれば、他の作業工程にも支障をきたします。だからこそ、コア開けを担当する側も、全体工程を見渡せる視点と、他業種と協調する姿勢が欠かせません。


分業制で進められる現場では、削孔だけを外注するケースも多くあります。その場合、現場の情報共有が不足してしまい、段取りの行き違いや工期のロスにつながることも。こうしたリスクを最小限に抑えるには、削孔・配管・据付などを一括で請け負える体制が有効です。


たとえばさくら株式会社では、現場全体の施工管理まで自社内でカバーできる体制を整えており、工事の目的や優先順位を把握した上で、最も合理的な順序と方法を選択しています。この一貫体制があるからこそ、急な変更や制約にも柔軟に対応でき、結果的にクライアントからの信頼にもつながっているのです。


削孔工事はあくまで“通過点”にすぎませんが、その精度や柔軟性が後工程の品質と効率に直結する以上、担当する側には高度な意識と責任が求められます。




穴を開けるだけじゃない、“意味のある仕事”として

ダイヤモンドコア削孔工事は、一見すると単純な穴あけ作業に見えるかもしれません。けれども、現場ではその一つひとつの作業が、配管の通り道となり、設備の機能を支える土台となっています。だからこそ、「ただ開ける」ではなく、「何のために、どう開けるか」を考える力が問われる仕事でもあります。


職人にとって、精密さと判断力の両立は簡単ではありません。しかし、そうした作業の積み重ねが現場の信頼につながり、職業人としての誇りにもなるのです。技術を磨く過程は地道ですが、自分の手で建物を支えているという実感を得られる仕事でもあります。


もし、こうした分野で経験を積みたいと考える方がいれば、まずは現場の空気感や、携わる人々の想いに触れてみるところから始めてみてください。


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